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相続税の改正

相続税・贈与税制改正

 相続税の課税方式は昭和33年に改正され、以後はほとんど基礎控除、配偶者控除、税率等を通じて軽減の歴史をたどっています。とくに、バブル期に地価が急騰し、多くの人の相続税負担が過重になったことから、その負担軽減を目的に相続税の基礎控除額を引き上げ、税率構造を緩和し、かつ、特例措置を大きく拡充するなどの改正が行われてきました。
 しかし、その後の地価の下落にも関わらず、相続税の基礎控除などの引き下げが行われていませんでした。その結果、相続税の課税割合は4.1%にまで低下し、平成23年には125万人が死亡して、約5万1千件しか相続税の申告がない状況となっています。
 そこで、相続税の資産再分配機能を回復するため、平成25年度の税制改正において、課税ベースの拡大や格差是正を目的に、相続税の基礎控除の引き下げ、税率構造の見直しを行うなど、半世紀ぶりの増税ということになりました。
 

主な改正点と影響

 基礎控除額について、地価動向の推移に対応したあるべき水準に再設定し、従来の水準の60%とされました。

   改正前 改正後 
 定額控除 5,000万円  3,000万円 
 法定相続人比例控除  1,000万円
×法定相続人数
600万円
×法定相続人数 
平成27年1月1日以降の、相続または遺贈により取得する財産に係る相続税について、適用されます。

税率構造は?

 最高税率が55%に引き上げられるとともに、税率の区分が従来の6段階から、8段階になりました。
改正前    改正後  
 各取得分の金額
(%)
控除額
(万円) 
 各取得分の金額
(%) 
控除額
(万円) 
 1,000万円以下  10
 ―  1,000万円以下  10 ― 
 3,000万円以下  15
 50  3,000万円以下  15  50
 5,000万円以下  20
 200  5,000万円以下  20  200
 1億円以下  30
 700  1億円以下  30  700
 3億円以下  40
 1,700  2億円以下  40  1,700
 3億円超  50
 4,700  3億円以下  45  2,700
       6億円以下  50  4,200
       6億円超  55  7,200
平成27年1月1日以降の、相続または遺贈により取得する財産に係る相続税について、適用されます。


未成年者控除および障害者控除の見直し


 前回改正時(昭和63年)からの物価の動向等を踏まえ、未成年者控除および障害者控除の控除額が引き上げられました。平成27年1月1日以降適用)

未成年者控除制度
改正前
 6万円×20歳に達するまでの年数 (1年未満の端数切り捨て)
改正後 10万円×20歳に達するまでの年数 (1年未満の端数切り捨て)

障害者控除
改正前 6万円 (特別障害者は12万円)×85歳に達するまでの年数(1年未満の端数切り捨て)
改正後 10万円 (特別障害者は20万円)×85歳に達するまでの年数(1年未満の端数切り捨て)


国外財産についての、相続税・贈与税の納税義務者の範囲拡大


 たとえば、日本に移住する祖父が、国外に居住する日本国籍を有していない孫に国外財産を贈与した場合、これまで課されなかった日本の贈与税が課税されることとなります。相続の場合も同様に、相続税が課されます。


小規模宅地等の特例の適用範囲の見直し


 特定居住用宅地等の適用対象面積の拡充のほか、適用要件の緩和が行われました。地価の高い所で居住している場合や事業を行っている場合の一定の宅地等では、相当額の相続税の負担軽減になると思われます。

平成27年1月1日以降適用分
・特定居住用宅地等の適用面積が330u(従前は240u)に拡充される。
・特定居住用宅地等と特定事業用宅地等について、特例の対象として選択する宅地等のすべてが特定居住用宅地等及び特定事業用宅地等である場合にはそれぞれの適用対象面積まで適用が可能とされ、最大で730uまで80%の減額の対象となる。

平成26年1月1日以降適用分
・1棟の2世帯住宅で構造上区分のあるものは、被相続人およびその親族が各独立部分に居住していた場合でも、敷地全体が特定居住用宅地の減額の特例の対象となる。
・老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等は、「被相続人に介護が必要なため入所したものであること」「当該家屋が貸付け等の用途に供されていないこと」の要件が満たされる場合には、相続の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして減額特例が適用される。


非上場株式等に係る納税猶予制度


 納税猶予制度活用の最大の障害であった雇用確保要件を「毎年8割以上」から「5年平均で8割以上」とするほか、手続きの簡素化や事務負担の軽減など、実態に即した要件緩和が図られます。


物納制度の管理処分不適格財産の範囲の見直し


 暴力団員等が地上権や賃借権等を設定している不動産については、管理処分不適格財産とされ、物納はできないこととされました。
管理処分不適格財産の範囲に、次の財産を加えることとしました。
(1)地上権、賃借権その他の権利が設定されている不動産で、その権利を有する者が次に掲げる者であるもの。
 @暴力団員その他一定の者(以下「暴力団員等」)という
 A暴力団員等が役員となっている法人
 B暴力団員等が事業活動を支配する者

(2)暴力団員等が役員となっている法人または暴力団員等が事業活動を支配する法人が発行した株式